本格炭火焼 「鳥ざん」

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スポーツ ゴルフ

   

全英屈指の難コースで見えた、今、石川遼に足りない二つのもの。

Number Web 7月21日(木)19時0分配信

「遼には遼、俺には俺の考え方がある」

用意されたソファにどっかと腰を下ろして池田勇太は言った。

昨年11月、ダンロップ・フェニックス3日目の記者会見場。
前週の試合ではスイング改造に取り組み始めたばかりの石川遼が優勝していた。
それを受けて、この大会でトップを走る池田にもスイングに対する質問が飛んだのだった。

「俺に決まったスイングはない。毎日違うから、調子が悪いときは悪い。
そのうちよくなるからほったらかし。細かくこうしよう、ああしようとはならない。
練習場の真っ平らなところで全く同じショットが打ててもコースでは同じようには打てないし、
それよりもいろんな状況に対応できる打ち方を編み出すほうが大事」

コースに出ればティーグラウンド以外は多かれ少なかれ前後左右に傾斜がある。
厳密にいえば、一度たりとも同じ状況はやってこないということだ。

「スイングにいいも悪いも完璧もない。ただ、人から見て綺麗か綺麗じゃないかはある」

ゴルフは規定演技とは違う。
ボールのライやスタンスの場所もすべて異なるのだから自ずとスイングは毎回変わる。
だから改造もへったくれもない、というのが池田の考えだった。

■いいスイングが必ずしもいい結果につながらない全英の理不尽さ。

全英オープンで苦しむ石川の姿を眺めながら、その時のやり取りを思い出した。

舞台となったロイヤル・セントジョージは全英開催コースの中でも屈指の難コースだった。
比較的易しいとされる昨年のセントアンドリュースでは27位に入れた石川も、
今年は思い切りリンクスの洗礼を浴びた。

10回目のメジャー挑戦は通算14オーバーの147位で予選落ち。

うねるフェアウエーは落下地点によってはナイスショットをラフに弾き飛ばし、
硬い地面は狙い通りのショットを予想よりはるかに前へと転がしてポットバンカーに放り込んだ。

「他の選手より手前に落ちたのに、他の選手より転がってバンカーに入ったり。自分のミスじゃないところでトラブルを招いて、こらえようと思ったけどこらえきれなくなってしまった。もう少し全英の経験が必要かなと思った」

いいスイングが必ずしもいい結果につながらない全英の理不尽さを石川は嫌というほど味わった。

■リンクスに臨機応変に対応した池田と対照的な石川。

運、不運の問題だったドライバーとは違い、散々だったのはアイアンショットで、
スイングの乱れを修正できないままミスを重ねていった。

悪いスイングをしているアイアンは当然ダメ、なのに納得いくスイングをしているはずのドライバーもダメ。
目指すスイングがあり、1つの型を基準にゴルフをしようとする石川にとって、
これでは正解のない問題を出されているような苦しさだったはずだ。
スイングに対して「いい」「悪い」の価値判断をもたない池田が、臨機応変に対応し、
19位で予選を乗り切ったのとはなんとも対照的だった。

予選落ちした石川は「練習場でできたことがコースでできなかった」と振り返った。
しかし、リンクスにおいては練習通りにやろうとする頑ななこだわりよりも柔軟性と創造性のほうが大切になる。
アゲンストや横風なら低く抑え、フォローなら風に乗せる。キャリーがどれくらいで、
ランは果たしてどこまで転がるのか。アプローチやパターまで含めてそういう計算が必要になってくる。
硬い地面と強い海風に対する答えはヤーデージブックには載っていないのだ。

■全英5度優勝を誇るトム・ワトソンが語る「本当のリンクス」とは?

石川と同世代の22歳、リッキー・ファウラーはそうしたツボを抑えてメジャー自己最高の5位に入った。

「リンクスでいいプレーをするには、きちんとボールをコントロールできないとダメ。
それは練習場で打つようなショットとは限らない。
想像力を働かせて、そのたびに違ったショットを打てるかどうか。それがリンクスゴルフだと思う」

フィル・ミケルソンも「アメリカでは絶対に打たないようなショットが要求される」と
低空のティーショットや上げないアプローチなど、さまざまなオプションを駆使して全英自己最高の2位となった。

全英オープンを優勝すること5回、今回も61歳ながら涼しい顔で
予選を通って22位となったトム・ワトソンはこう語っている。

「世界中にリンクスと呼ばれるようなコースはたくさんあるけど、それは本当のリンクスじゃない。
これだけ硬くて、引き締まっていて、球がよく転がるコースじゃないとリンクスの経験は積めない。
これだけの厳しいコンディションと強風を体験しない限り、リンクスを本当に理解したことにはならないんだよ」

■帰国会見で示したアイアン練習本格化への決意。

となれば、石川にはまず想像力の土台となるリンクスでの経験が絶対的に足りない
。しかし、石川自身はそれ以外にも足りないものを挙げるはずだ。

それは応用力を働かせる以前の基礎となるショット力である。
自分はまだリンクスで多様なショットを駆使する段階にはない、と石川自身も考えているのだろう。
だからこそ、帰国会見ではアイアンへの取り組みを本格化させる決意を示したのだ。

「ドライバーは4年間の練習の成果を発揮できたけど、アイアンは練習がまだまだ足りなかった。
これからは練習メニューのウエートのかけ具合を変えていって、
ドライバーと同じように練習していこうと思ってます」

長い道のりを覚悟して、また新しい一歩を踏み出す。石川のアイアンショットはこれからどう変わっていくのか。今回の惨敗は石川のゴルフをまた1つ押し上げる契機になるかもしれない。

(「青春GOLF ――石川遼に密着!」雨宮圭吾 = 文)

石川選手の良きライバル、池田選手の辛口(?)コメントですが、切磋琢磨しているって感じですね!
こういう関係、素敵だと思います。

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